思わぬ出目でシナリオが壊れる

たぶんTRPGでゲームマスター側をやる人にはあるあるだと思う。

 

 

ソードワールド2.5にて「シュネルアレコード」と題したオリジナルキャンペーンを最近始めた。

神紀文明がシュネルアとよばれるようになったキッカケとして、シュネルアなる人物を設定してその足跡を辿りつつ世界滅亡のカウントダウンを止める……というのが大雑把なあらましだ。

 

魔法文明が真語魔法や操霊魔法を開発した魔法王デュランディルより「魔法文明デュランディル」と呼ばれるように、魔動機文明に発達したアル・メナスネットワークから「魔動機文明アル・メナス」と呼ばれるように。
神紀文明が「神紀文明シュネルア」と呼ばれるのには、シュネルアなる存在があったに違いない。

そう考えた私は、独自のシュネルア像を構築してキャンペーンの中核に据えることにした。

 

シュネルアは、記録者であり言葉を操るものである。文字を発明し、記録を発明し、魔法という概念を確立した。「神紀」と現代では言われる当時の資料を執筆した者として現代には残っている。

そして、信仰が失われた古代神である。魔法文明時代ごろに神殿の痕跡は消え失せ、一介の記録者としてのみ、この時代には名が残っている。
自分自身のことには無頓着だったのか、性別も種族も分かっていない。シュネルア自身のパーソナリティを示す記録が残っていないのだ。

そんなオリジナル設定を提示した上で、身内からプレイヤーを集めて卓を立てたのは夏の日だった。

当時プレイヤーに、ひとつだけお願いしたことがあった。「擬似的な魂を持たず、グラスランナーでない種族のPCをシュネルアの化身とさせてくれ」と。
化身として覚醒すれば、シュネルアのプリースト技能をGMが必要と思ったときに使うことができる。そう伝えた上で、相談の末にひとりの長命種メリアが化身となった。

 

具体的なことは伏せるが、世界滅亡の原因というものがキャンペーン上存在する。私は、その原因に関係する要素を加えることで、特殊なデータが追加されたエネミーとなった特殊個体を1話の大物として準備した。

ラクシアに存在するすべての色が混じったような、黒に近しい色をしたモヤ。それに侵されたシーサーペント(かけらをレベルと等しい数まで持たせた個体)が今回のボスである。

このシーサーペントには、特定の信仰を持つプリーストが行ったダメージ軽減の魔法を使わないと、魔法ダメージを1点多く(物理攻撃でも!)問答無用で受けてしまうというデータを持たせていた。

プリーストはプレイヤー陣の中には存在時ない。だが、誰かが黒いモヤに侵されたシーサーペントからダメージを受けることによって、名前だけが残る存在「シュネルア」は神様だったのだ!!そしてその魂はラクシアに降り立っていた!ということがPCたちの視点からでもわかるようにするイベントを起こす。このタイミングで《フィールド・プロテクション》が使えるレベルに化身としてのプリースト能力を使えるようにしてやれば、それに込められたニュアンスを伝えられるだろう。

完璧な作戦だ。自分ではそう思っていた。

前衛がふたり、いざ火を吹いてダメージを出してやる! その時だ。

 

エネミーがピンゾロを出して、シナリオが瓦解した。

 

 

エネミーがPCにダメージを与えることで、化身としての能力を長命種メリアに与えようと考えていた。
そのためにシーサーペントにブレスを吐かせようとしたら……温風だけが出たのだった。

当然、エネミーは脅威とならず斃される。
きっとキャラクター達には、世界滅亡に対する危機感を煽れなかっただろう。そんなところで一旦中断をしたのだった。

 

 

そして今現在、悩み続けている。どのように化身として覚醒させるべきか。投稿日(2025年9月12日)の21時までに考えなければならないのだ。

……最悪は「こうしたかったんだけどどうしよう」と泣きつくことも視野に入ってしまっている。TRPGはみんなでストーリーを作って遊ぶものだ、フィアスコのようにみんなで話し合って面白い方向を模索するのもアリだろう。

ただ、こう。ダイスの女神が高笑いする声が聞こえるのだ。私は正直、悔しくもあり悲しい。